説明のための理由

私の仕事の會計ルールでは、有料道路の料金は「使用料」、バスの借上料金は「賃借料」で爲拂ふことになつてゐる。
ある職員が多人數で嵩張る荷物もあるので、バスを借上げて出張することにした。目的地まで遠距離のため有料道路も利用する。前述のとほり本來は「使用料」及び「賃借料」で掛つた經費を爲拂ふべきなのだが、それらの科目に豫算がない。ではどうするか?――「旅費」で豫算執行するのである。バスを借上げるのは職員。當然バス會社へ代金を爲拂ふのも職員本人。有料道路の料金もバスの借上料金に含める。職場は交通費として「旅費」を本人へ支給する。
實態は事務方がバスの手配をしてゐるのだが、形の上ではかう云ふことにしてしまふ。仕事とは云へ斯樣なことを考出さねばならぬとき、やるせなさを感じる。ルールを柔軟に運用してゐると言へば聞えはいゝが、私はルールを形骸化してゐるとしか思へない。