ディア・ドクター

伊野が隱してゐた「嘘」が何であるか――それはあらすじを讀んだ時點で想像に難くないし、判つたところで物語を觀る上で何等支障はない。その「嘘」がばれた時の周りの反應――それがこの映畫で一番面白いところだ。
祭上げられた人間はそこから降りるができない。祭上げた人間は「嘘」が判れば足下から直ぐ逃去る。人間とは如何に自分の都合しか考へてゐないのか。非常に興味深く描かれてゐる。
泣ける映畫だと思つて觀に行つたのだが、その樣な映畫ではない。しかし充分樂しめた映畫だつた。最後の邊、伊野達が電車を待つてゐる場面が必要なかつたと思つたくらゐ。