携帶電話を忘れる

我家にはテレホンカードが腐る程あるので、外から電話をする時は專公衆電話を使ふ樣にしてゐます。
今日は齒科醫院に豫約日の都合が惡くなつた旨聯絡する爲、公衆電話で掛けました。齒科醫院の電話番號は携帶電話に入れてゐます。携帶電話を見ながら公衆電話で掛けてゐる姿は珍妙なものですが、斯樣な事で使はないとテレホンカードが處分出來ません。
豫約日の變更も無事終り、歸途に就きました。家に着き荷物を整理してゐた處、何時もズボンの左ポケットにある筈の携帶電話がありません。氣附かない間に出したと思ひ、机や食卓、下足箱の上を搜しましたが何處にもありません。取敢ず自分の携帶電話に掛けてみました。マナーモードでも振動音位は聞えるだらうと思つたのですが、物音は全く聞えません。拙い、落した!焦りながら電話をスピーカーホンにして鞄の中身をばらしながら必死で搜しました。何十囘かコールした後電話から女性の聲が…。

女性
「もしもし」
「皐(假名)と申しますがその携帶電話の持主なのですけど。」
女性
「ああ、この携帶電話の持主の方ですか。○○のインフォメーションで御預してをります。取りに來て戴けますか?」
「はい、これから直ぐ取りに伺ひます。」

泣く泣く電車に乘つて取りに行く私でありました。屆けてくれた方は公衆電話の上に携帶電話があるなんて變だと思つたでせうな。